この記事でわかること

  • 「0歳児は3対1、1歳児は6対1」——保育士の配置基準は児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)で定められた認可保育所の土台です。ただ、2024年度に省令第33条の本則が改正されて3歳児15:1・4-5歳児25:1となり(経過措置あり)、2025年度には1歳児5:1の「1歳児配置改善加算」がスタートするなど、直近2年で配置基準をめぐる枠組みが大きく動いています。
  • 本記事では、年齢別の早見表・計算方法・2024→2025の改正動向・短時間保育士の配置ルール・地域型保育事業の4類型まで、園長・事務長が押さえるべき論点を一次ソースベースで整理します。
本記事について | 2026年4月時点の公開情報をもとに作成しています。一般的な解説を目的とした記事であり、個別具体の運用判断は社会保険労務士・所管行政等の専門家へご相談ください。

保育士の配置基準とは

保育士の配置基準は、子どもの安全確保と認可保育所の運営要件の両方を目的とした法令上の最低ラインです。単に「何人配置するか」だけでなく、公定価格や各種加算の算定根拠にもなる重要な数値です。

根拠法:児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第33条

保育所の職員配置は、昭和23年厚生省令第63号「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」第33条第2項で年齢別に定められています。令和6年4月1日施行の改正後の条文では、乳児(0歳児)概ね3人につき1人以上、満1歳以上満3歳に満たない幼児概ね6人につき1人以上、満3歳以上満4歳に満たない幼児概ね15人につき1人以上、満4歳以上の幼児概ね25人につき1人以上、と整理されています。ただし、3歳児・4-5歳児については「当分の間は従前の基準(20:1・30:1)での運営も妨げない」とする経過措置が設けられています。

この省令は「最低基準」と位置づけられており、自治体の条例で上乗せ基準を設けることができます。横浜市のように独自の配置基準を適用している自治体もあり、自園の所在自治体の基準を必ず確認する必要があります。

配置基準が必要な3つの理由

配置基準は次の3つの意味を持ちます。

  • 子どもの安全確保:1人の保育士が目を配れる範囲で乳幼児の安全を担保するための最低ライン
  • 認可保育所の設置要件:基準を下回る運営は児童福祉法上の認可要件を満たさず、改善勧告や認可取消の対象となります
  • 公定価格・加算の算定根拠:保育所運営費は公定価格の多くの部分を人件費が占めるとされ、配置基準が実際の報酬額を決める入り口になります

園全体で常時2名以上ルール

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第33条第2項のただし書きでは、保育士の数は2人を下回ることはできないと定められています。園児が少人数の小規模園や、早朝・延長保育で園児が数人しかいない時間帯でも、保育士は常時2名以上配置しなければなりません。

1名が休憩中・事務作業中であっても2名体制を崩すことはできないため、早番・遅番の重なり時間設計や代替要員の確保が実務上の鍵となります。

【年齢別早見表】保育士の配置基準一覧(2026年最新)

0歳〜5歳までの現行基準(本則改正後)と経過措置、2025年度新設の加算を1つの表で整理します。自園のクラス編成に当てはめる際の基本資料としてご活用ください。

年齢第33条(本則)経過措置2025年度〜の加算備考
0歳児3:1改正なし
1歳児6:15:1(1歳児配置改善加算)2025年度新設
2歳児6:1改正なし
3歳児15:1(本則改正後)従前基準20:1で当分の間(令和9年度末まで)運営可15:1達成園に3歳児配置改善加算令和10年度から15:1完全義務化
4-5歳児25:1(本則改正後)従前基準30:1で当分の間運営可(終期未確定)25:1達成園に4歳以上児配置改善加算76年ぶりの本則改正
出典:児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)第33条第2項/令和6年4月1日施行の省令改正/令和7年度予算(こども家庭庁)

上記の基準に加えて、第33条第2項のただし書きにより「保育士の数は2人を下回ることはできない」という最低2名ルールが常時適用されます。年齢別計算で1人と算出されたクラスでも、園全体では必ず2名以上の保育士を配置する必要があります。

2024年度からの達成状況

こども家庭庁が公表している「令和7年度予算 子どものための教育・保育給付交付金」関連資料によれば、令和6年7月時点で3歳児15:1以上の配置を達成している施設は96.2%4-5歳児25:1以上を達成している施設は94.4%に達しています(こども家庭庁 令和7年度予算資料)。本則改正はすでに現場で広く実現しつつある状況です。

自治体独自の上乗せ基準

自治体によっては、国の基準より手厚い独自基準を設けている例があります。横浜市では1歳児4:1・2歳児5:1など国基準より手厚い独自運用が行われています(横浜市 給付認定及び利用調整に関する基準)。4歳以上についても24:1相当の運用が行われているとされますが、自園の所在自治体の運用通知を必ず確認してください。

上乗せ基準は単に条件が厳しくなるだけではなく、上乗せ分に必要な人件費は自治体独自の助成金で補填されるのが一般的です。横浜市でも「市配置基準の保育士を確保するために必要な経費を助成する」運用が明記されています(横浜市 保育所テキスト 令和7年1月版)。ただし、国の加算(1歳児配置改善加算等)との併給可否や助成単価は自治体ごとに運用が異なり、国の本則改正で従来の独自助成が公定価格に吸収されると助成単価が見直されるケースもあるため、最新の交付要綱を必ず確認してください。

業種横断の人員配置基準の全体像は「人員配置基準とは|医療・介護・保育・障害福祉・製造の業種別早見表」で整理しています。

2024年度(令和6年度)改正のポイント

2024年度改正は、令和6年4月1日施行の省令改正で第33条の本則そのものが3歳児15:1・4-5歳児25:1に改正されつつ、経過措置として「当分の間は従前の基準(20:1・30:1)で運営することを妨げない」と定められ、さらに新基準で運営する園には公定価格で加算措置が設けられる、という本則改正+経過措置+加算の3層構造で進みました。

4-5歳児 30:1 → 25:1(76年ぶりの本則改正)

4-5歳児の配置基準は1948年に30:1として定められて以降、約76年間にわたり見直されていませんでした。2024年度の省令改正で第33条の本則が25:1へ改正され、最低基準策定以来初めての改善となります。ただし現時点では経過措置により従前の30:1での運営も認められており、経過措置の終期は未確定です。

25:1配置を実現した園には、公定価格上の加算として「4歳以上児配置改善加算」が措置されます。1人あたり基本額を軸に処遇改善等加算や加算率を加味して算定され、チーム保育加配加算・チーム保育推進加算と同時に取得することはできません。加算取得の実務判断では、既存の加算体系との整合性チェックが必要です(こども家庭庁 令和7年度予算 公定価格上の加算措置)。

3歳児 20:1 → 15:1(経過措置は令和9年度末まで)

3歳児については、平成27年度(2015年度)から「3歳児配置改善加算」として20:1→15:1への配置改善に対する加算が運用されてきました。すでに令和6年7月時点で96.2%の施設が15:1以上を達成しており、これを踏まえて令和6年に省令第33条の本則が20:1から15:1に改正されています。経過措置は令和9年度末までとされており、令和10年度からは15:1が完全義務化されます。

本則改正+経過措置+加算の3層構造

2024年度改正で理解しておきたいのは、「本則が15:1・25:1に改正された」「ただし当分の間(3歳児は令和9年度末まで)は従前基準での運営も可」「新基準で運営する園には公定価格で加算がつく」という3層の構造になっている点です。

経過措置期間中は最低基準ぎりぎりの20:1・30:1での運営も適法ですが、3歳児については令和10年度からは15:1が義務となるため、採用計画や保育室のレイアウト変更を早めに進める必要があります。加算は現時点で新基準を実現した園に対する費用補填として機能しており、経過措置の終了時期に向けて段階的に移行することが想定されています。

2025年度(令和7年度)1歳児配置改善加算の新設

2025年度の大きな動きが、1歳児の配置基準を実質5:1に引き上げるための「1歳児配置改善加算」の新設です。省令第33条の1歳児6:1は据え置かれたまま、5:1配置の園に加算で費用補填する構造が採用され、令和7年4月から施行されています(こども家庭庁 令和7年度予算案のポイント)。

加算の概要と対象事業

1歳児配置改善加算は、対象園が5:1相当の配置を維持することを前提に、公定価格に加算が上乗せされる仕組みです。令和7年度予算で加算が創設され、令和7年4月から施行されています。

加算の対象事業

  • 保育所
  • 幼保連携型認定こども園
  • 小規模保育事業A型・B型
  • 事業所内保育事業(定員規模により該当)

加算の対象外事業

  • 小規模保育事業C型
  • 家庭的保育事業
  • 居宅訪問型保育事業

対象外となる3事業は、すでに3:1相当の配置基準が設定されており、1歳児6:1→5:1改善の対象にはなりません。自園の事業類型を確認してから加算取得の検討に入る必要があります。

加算単価は園の規模・体制によって変動します。1歳児6名を受け入れる園と1歳児12名を受け入れる園では追加で必要な人件費が大きく異なるため、加算取得の試算は必ず自園の1歳児在籍人数ベースで行う必要があります。

加算取得の4条件

1歳児配置改善加算は、単に5:1配置を実現するだけでは取得できません。次の4要件をすべて満たす必要があります。根拠は特定教育・保育等に要する費用の額の算定に関する基準等の実施上の留意事項について(こ成保385、最終改正 令和7年4月11日こ成保2957)第24頁「4.1歳児配置改善加算(➉)」に明示されています。

No要件内容
11歳児5:1以上の配置改善年齢別配置基準のうち1歳児に係る保育士配置基準を1歳児5人につき1人により実施(実人数が5人を下回る場合も算式による配置基準上保育士数を満たせば加算適用可)
2処遇改善等加算の区分1・区分2・区分3を全て取得処遇改善等加算(⑦、㉔)の区分1・区分2・区分3のいずれも取得していること(※)
3ICTシステム活用以下①(必須)+②〜④のいずれか1つ以上、合計2機能以上を導入・業務活用していること ① 園児の登園及び降園の管理に関する機能 ② 保育に係る計画・記録に関する機能(職員間で情報の共有や更新を行える機能を有すること) ③ 保護者との連絡に関する機能(ICTを介さない個別メール・アプリによる連絡のみは除く) ④ キャッシュレス決済に関する機能
4職員1人当たりの平均経験年数10年以上「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について」(令和7年4月11日こ成保296)の加算率算定方法で算出される「職員1人当たりの平均経験年数」が10年以上。原則として加算年度の4月1日時点で判断(年度途中で要件を満たした場合は翌月から加算適用)
※ 処遇改善等加算は令和7年度から一本化(①基礎分/②賃金改善分/③質改善分の3カテゴリに再編)されていますが、1歳児配置改善加算の要件としての「処遇改善等加算を全て適切に取得している」という趣旨は維持されています(こども家庭庁 令和7年度以降の処遇改善等加算について)。

特にハードルが高いのは要件4の「職員の平均経験年数10年以上」です。若手保育士を多く採用している園や、離職率が高い園では単年度で達成することが難しく、採用・育成戦略の中長期的な見直しが必要となります。

要件3のICTシステム活用も注意が必要です。登降園管理だけを導入しただけでは足りず、計画・記録/保護者連絡/キャッシュレス決済のいずれかと組み合わせて合計2機能以上を運用している必要があります。加算取得後も実地確認等で運用実態が問われうるため、単なる導入ではなく、日常業務での継続的な活用が求められる点を想定しておくべきです。

2026年度以降の動向(1歳児5:1の本則改正は未定)

1歳児については、「こども未来戦略」(2023年12月閣議決定)で加速化プラン期間中の早期に6:1から5:1への改善を進める方針が示されています。ただし当面は公定価格の「1歳児配置改善加算」による加算方式での推進が中心で、省令第33条の本則改正時期は未定です。

加算という任意取得の構造では園ごとの格差が広がるという指摘もあり、今後の本則改正に向けた議論の進展と関連予算の動きを注視する必要があります。

計算方法と実例(クラス編成別シミュレーション)

配置基準の計算式は「園児数 ÷ 配置基準 = 必要保育士数(端数切り上げ)」がベースで、これに「最低2名ルール」の補正を加えます。5つのクラス構成で実際に計算してみます。

基本の計算式

保育士の必要人数は、年齢別に次の手順で計算します。

  1. 各年齢の在籍人数を書き出す
  2. 年齢別の配置基準で除算する(例:1歳児12名 ÷ 6 = 2)
  3. 端数は切り上げる(例:3歳児22名 ÷ 15 = 1.46 → 2人)
  4. 年齢別の必要人数を合計する
  5. 園全体の合計が2名未満になる場合は2名に補正する

計算式は単純ですが、実務で使うときは「常勤保育士で埋める部分」と「短時間保育士で補う部分」を分けて設計する必要があります。短時間保育士の扱いは後述の「短時間保育士の定義と配置ルール」で解説します。

0歳児クラス(在籍6名の場合 → 2名必要)

0歳児6名のクラスは、配置基準3:1で6 ÷ 3 = 2となり、2名の保育士が必要です。この2名は「最低2名ルール」とも整合します。

1歳児クラス(在籍12名:6:1で2名/5:1加算適用で3名)

1歳児12名のクラスは、法定基準6:1では12 ÷ 6 = 2で2名の配置となります。1歳児配置改善加算を取得して5:1配置にする場合は、12 ÷ 5 = 2.4 → 3名の保育士が必要です。2名から3名への1名増員は、週40時間の常勤保育士1名分に相当する人件費インパクトがあり、加算単価と採用コストを見比べた試算が欠かせません。

2歳児クラス(在籍18名 → 3名)

2歳児18名のクラスは、配置基準6:1で18 ÷ 6 = 3となり、3名の保育士が必要です。2歳児は2024年・2025年の改正対象外で、従来どおりの6:1運用が継続します。

3歳児クラス(在籍24名:従前基準20:1で2名/本則15:1でも2名)

3歳児24名のクラスは、従前基準20:1では24 ÷ 20 = 1.2 → 2名、本則改正後の15:1でも24 ÷ 15 = 1.6 → 2名となり、いずれも2名配置で基準を満たします。このように端数切り上げの仕組みによっては、基準が変わっても必要保育士数が変わらないケースがあります。本則15:1で実際に人員が増えるのは、在籍人数が15の倍数を超える場合です。

4-5歳児合同クラス(在籍50名 → 25:1で2名)

4-5歳児の合同クラスは、最も厳しい年齢の配置基準を適用します。4歳児・5歳児とも同じ25:1(本則改正後)のため、在籍50名 ÷ 25 = 2名です。異年齢合同クラスでは、複数年齢が混在する場合に年齢ごとに分けて計算した合計と、最も厳しい年齢で一括計算した結果を比較し、必要人数が多い方を採用するのが実務上の運用です。

園全体の集計と最低2名ルールの適用

小規模園では、各年齢クラスの計算を合計しても保育士が1名にしかならないケースがあります。たとえば小規模保育事業A型で1歳児2名・2歳児3名のみを受け入れる場合、年齢別計算では1歳児1名・2歳児1名の合計2名となりますが、同じ職員が両方のクラスを兼ねる前提で計算すると1名になる場合があります。このときは第33条第2項ただし書きにより2名に補正する必要があります。

実際には保育の安全確保のため、休憩時間・早遅シフトの重なりを考慮すると、基準値+1〜2名の在籍人数で運営している園が大半です。

短時間保育士の定義と配置ルール

配置基準の実務で最も誤解が多いのが、短時間保育士の扱いです。ここでは令和3年3月19日 厚生労働省子ども家庭局長通知「短時間勤務の保育士の取扱いについて」(子発0319第1号)、令和5年4月21日 こども家庭庁成育局長通知(こ成保21)、令和6年6月25日 こども家庭庁成育局長通知(こ成保666)の3つをベースに整理します。通知ごとの役割は次のとおりです。

  • 令和3年3月19日通知(子発0319第1号):短時間保育士の基本的な取扱い(各組に常勤1名以上、短時間2名で常勤1名に代替可等の配置要件)を定めた通知
  • 令和5年4月21日通知(こ成保21):令和3年通知を一部改正し、常勤保育士・短時間勤務保育士の定義を明確化した通知(こども家庭庁 通知原文
  • 令和6年6月25日通知(こ成保666):勤務時間短縮保育士(育児・介護等を理由とする時短勤務者)の取扱い等を整理した通知(こども家庭庁 通知原文

短時間保育士・常勤保育士の定義

令和5年4月21日通知(こ成保21)によって、常勤保育士は次のいずれかに該当する者と定義されています。

区分定義
常勤保育士①当該保育所等の就業規則で定める常勤の従業者が勤務すべき時間数(1か月120時間以上)に達している者、または ②①以外の者であって、1日6時間以上かつ月20日以上勤務する者
短時間勤務保育士上記①②のいずれにも該当しない者

たとえば、週4日×1日8時間勤務(月128時間)で就業規則上の常勤勤務時間に達している職員は、月20日勤務していなくても①により常勤保育士として扱われます。一方、1日6時間×月20日勤務の職員は②により常勤保育士となります。

令和6年6月25日通知(こ成保666)では、勤務時間短縮保育士(育児・介護等を理由とする時短勤務者)の取扱いも再整理されました。フルタイム雇用の職員が育児短時間勤務を取得して1日6時間を下回る場合の扱いなど、細則は自治体の運用通知で補足される場合があります。

配置要件:各組・各グループに常勤1名以上

令和3年3月19日通知の中核ルールが、短時間保育士の配置要件です。

  • 大原則:各組(クラス)または各グループに、常勤保育士を1名以上配置する
  • 配置基準が2名以上のクラス:常勤保育士を2名以上配置する
  • 短時間保育士のみでの運営は不可:同じクラスを短時間保育士だけでカバーすることはできない

0歳児・1歳児など配置基準が2名以上になる乳児クラスでは、常勤保育士2名以上の配置が原則です。6名の0歳児クラスで配置基準が2名の場合、この2名分は常勤保育士2名で満たすことが基本となります(短時間保育士で代替する特例は、この大原則を満たした上で限定的に適用される点に留意してください)。短時間保育士は、この常勤配置要件を満たした上で、プラスアルファの配置として活用する形が原則です。

常勤換算の計算方法

短時間保育士を複数配置した場合、保育士の総数を「常勤換算(FTE)」で把握しておくと、加算要件の充足判定や実地監査への対応がスムーズになります。保育ケースの常勤換算の計算方法は「常勤換算の計算方法を業種別に解説|計算式・NG事例・令和6年改定」で詳細に解説しています。

保育園の場合、短時間保育士2名をもって常勤1名に代えて充てる取扱いが可能とされていますが、これは「各組・各グループの常勤1名以上(配置基準2名以上のクラスでは常勤2名以上)」という大原則を満たした上での追加ルールです。この順序を取り違えないことが重要です。

地域型保育事業(4類型)の配置基準

0-2歳児を中心に運営する地域型保育事業は、認可保育所とは別の配置基準体系を持ちます。子ども・子育て支援法および平成26年内閣府令第39号「特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準」、平成26年厚生労働省令第61号「家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準」に基づく4類型の配置基準を整理します。

事業類型定員配置基準職員要件
家庭的保育事業3〜5名3:1(補助者がいれば5:2)家庭的保育者(認定研修修了者)
小規模保育事業A型6〜19名保育所の職員配置基準に、園全体として+1名全員保育士資格
小規模保育事業B型6〜19名保育所の職員配置基準に、園全体として+1名保育士1/2以上
小規模保育事業C型6〜10名3:1(補助者がいれば5:2)家庭的保育者
事業所内保育事業定員別定員19名以下は小規模A/B/C型に準ずる/20名以上は認可保育所基準定員規模別
居宅訪問型保育事業1名1:1認定研修修了者
出典:子ども・子育て支援法/特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準(平成26年内閣府令第39号)/家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準(平成26年厚生労働省令第61号)

小規模保育事業A型・B型は、保育所の職員配置基準(年齢別)に対して園全体として1名を加配する点が特徴です。対象は0-2歳児に限定されるため、0歳児3:1・1-2歳児6:1という年齢別基準に、園全体で1名が加算される形で運用されます。保育士資格者の比率がA型(全員)とB型(1/2以上)で異なる点が、職員採用と運営方針の分岐点になります。

なお、前述のとおり1歳児配置改善加算の対象外となるのは、小規模保育事業C型・家庭的保育事業・居宅訪問型保育事業の3事業です。これらはすでに3:1相当の配置基準が設定されているため、1歳児6:1→5:1改善の対象にはなりません。

配置基準違反のリスクと実務対策

配置基準を下回る運営は、行政処分リスクだけでなく、事故発生時の行政・民事責任にも直結します。日々のシフトでどう守るかが実務上の焦点です。

認可取消・改善勧告のリスク

配置基準違反が確認された場合、児童福祉法第59条に基づく是正命令や改善勧告の対象となります。軽微な違反では文書指導にとどまる場合が多いものの、長期間にわたる違反や悪質なケースでは認可取消に至るおそれがあります。認可が取り消されれば公定価格の支給停止となり、園の運営継続そのものが困難になります。

加えて、配置基準を下回る時間帯に園内事故が発生した場合、保護者との民事訴訟や自治体からの損害賠償請求で「配置基準違反と事故との因果関係」が論点となる事例があります。日常的な配置基準遵守は、リスクマネジメントの観点からも不可欠です。

実地監査で指摘されやすいポイント

自治体の実地監査で指摘されやすいパターンは次のとおりです。

  • 急な欠勤時の補充体制:代替保育士の確保が間に合わず、一時的に配置基準割れ
  • 休憩時間中の配置:1名が休憩中に「常時2名以上」ルールが崩れる
  • 登降園時間帯の配置薄:早朝7:00-8:00や夕方18:00以降に保育士が1名のみになる
  • 短時間保育士のみでの運営:各組常勤1名以上ルールの未遵守
  • 記録不備:勤務実績記録(勤務表・タイムカード)と実配置の不整合

実地監査では、勤務表・タイムカード・日誌を突き合わせて配置実態が確認されます。シフト管理と実勤怠のデータが連携していないと、監査対応に膨大な工数がかかります。

日々のシフトで配置基準を満たすコツ

毎日のシフトで配置基準を確実に満たすためには、次の3点を運用ルールに組み込むのが有効です。

  • 早番・遅番の重なり時間設計:登降園のピーク時間に厚く、園児減少時間帯もミニマム2名以上
  • 予備人員(フリー保育士)の確保:急な欠勤に備え、担任を持たないフリー保育士を週2〜3日勤務で配置
  • ICT化による可視化:シフト作成ツールに時間帯別の必要人数枠を制約として組み込み、違反検知できる仕組みを導入

ホワイトボードや表計算ソフトによる手作業のシフト作成では、時間帯ごとの配置確認を毎日手動で行うことになり、欠勤・変更が発生するたびに再計算が必要です。シフト管理ツールに必要人数枠を制約として組み込むことで、この負担を軽減できます。

シフッタで保育園シフト作成の手作業を減らす

年齢別配置基準・最低2名ルール・常勤配置要件・1歳児配置改善加算の5:1配置を満たすシフト作成は、設定すべき条件が多く、手作業ではどうしても時間がかかります。シフッタは、運用ルール(クラスごとの必要人数枠、常勤配置、勤務間インターバル等)を制約条件として一度設定しておけば、それを満たすシフトを自動生成するAIシフト管理ツールです。

数理最適化エンジンで複数の制約を同時に考慮

シフッタの中核は0-1整数計画法に基づく数理最適化エンジンで、19種類の制約を使って様々な条件を組み合わせて記述できます。保育園のシフト作成では、以下のようなルールを制約として設定するケースが多くあります。

  • クラス・時間帯別の必要人数枠:0歳児クラス・1歳児クラスなど各クラスに必要な人数下限を時間帯ごとに設定
  • 常勤保育士の配置要件:「各クラスに常勤1名以上」「0歳児・1歳児クラスは常勤2名以上」など
  • 早番・遅番の重なり時間:登降園ピーク時間帯の人員厚み、最低2名以上の維持
  • 勤務間インターバル:連続勤務回数上限、休憩時間中の代替配置等
  • 個人別の希望休・固定休:希望提出を取り込み、可能な範囲で反映

これらを一度設定すれば、毎月のシフト生成は自動化され、設定した制約に違反するシフトはそもそも生成されません。違反箇所の事後チェック工数も削減できます。

現状できないこと

一方で、シフッタは現状以下の領域は自動化していません。導入時には運用設計でカバーする必要があります。

  • 配置基準そのものの自動算出:在籍人数や年齢構成から「年齢別に必要な保育士数」を自動計算する機能は提供していません。必要人数は園側で算出し、制約として設定する運用です。
  • 加算要件の自動判定:1歳児配置改善加算の「平均経験年数10年以上」「処遇改善等加算の取得状況」「ICTシステム活用」といった年単位・組織単位の要件は、シフト作成ツールの範囲外です。
  • 常勤換算の自動算出:短時間保育士の常勤換算値は、勤怠管理システム側で集計する必要があります。

スマホ操作・チャット指示に対応

保育士は事務室PCに張り付けない職種です。シフッタのAIチャットはスマートフォンでも動作するため、園長や主任が保育室・園庭からシフト調整や急な欠員対応の相談ができます。モバイル対応のAIシフトチャットは業界でも数少ない機能で、現場の業務動線に合わせた設計です。

まとめ|配置基準の最新動向とシフト作成の効率化

保育士の配置基準は、2024年度の本則改正(3歳児15:1・4-5歳児25:1)+経過措置+加算、2025年度の1歳児5:1配置改善加算、1歳児本則改正に向けた議論と、直近で段階的な改善が続いている領域です。本記事のポイントを再確認します。

  • 現行基準は0歳3:1/1歳6:1/2歳6:1/3歳15:1(本則改正後)/4-5歳25:1(本則改正後)(昭和23年厚生省令第63号第33条)
  • 2024年度改正は本則改正+経過措置(3歳児は令和9年度末まで20:1で運営可)+加算の3層構造。令和10年度から3歳児15:1が完全義務化。4歳以上児配置改善加算はチーム保育加配加算等と重複取得不可
  • 令和6年7月時点で3歳児15:1達成率96.2%、4-5歳児25:1達成率94.4%と、本則改正はすでに広く定着
  • 2025年度1歳児配置改善加算は「5:1配置+処遇改善等加算全取得+ICT活用(2機能以上)+平均経験年数10年以上」の4条件。対象外事業は小規模保育事業C型・家庭的保育事業・居宅訪問型保育事業
  • 常勤保育士は「①月120時間以上の常勤勤務時間に達している者」または「②1日6時間以上かつ月20日以上勤務する者」のいずれかに該当(令和5年4月21日通知)
  • 園全体で常時2名以上ルールが全時間帯に適用
  • 短時間保育士は各組常勤1名以上(配置基準2名以上のクラスでは常勤2名以上)が前提
  • 地域型保育事業4類型(家庭的・小規模A/B/C型・事業所内・居宅訪問型)は別体系の配置基準
  • 毎日のシフトで配置基準を守る仕組み化がリスクマネジメントの鍵

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